近年注目を集めているインサイドセールスの導入を検討している方も多いでしょう。
しかし、インサイドセールスに関する情報は他の営業手法と比べて少ないです。
「導入したいのにやり方がわからない」と感じて困ってしまうかもしれません。
そこでこの記事では、インサイドセールスのやり方について紹介していきます。
導入範囲ごとのメリットデメリットにも触れますので、導入イメージが沸いていなくても問題ありません。
自社にあうやり方を見つけてみてくださいね。
インサイドセールスとは?
インサイドセールスとは、電話やネットなどを活用しながら非対面で行う営業手法のことです。
内勤営業や非対面営業などと呼ばれることもあります。
感染症が流行した影響で対面での営業が難しくなり、インサイドセールスが注目を集めるようになりました。売上をキープするために導入を検討する企業が増えているのです。
インサイドセールスのメリット3つ
この記事を読んでいる方はすでに導入を検討していると思いますが、メリットを再確認すると導入への意欲が高まるでしょう。
以下3つのメリットに魅力を感じるか、「自社にとって必要だ」と感じるかどうか確認してみてください。
- コスト削減ができる
- 質の高いリストを獲得できる
- 業務効率がアップする
インサイドセールスは顧客に会いにいく必要がなく、交通費がかかりません。
営業活動にかかるコスト削減につながります。
また、顧客の育成ができるインサイドセールスを導入すると、質の高いリストが獲得できます。
受注率や営業マンのやる気アップにつながり、営業効率がよくなるでしょう。
そのほか、移動時間が不要になることで顧客対応に避ける時間が増える効果もあります。
従来よりも多くの案件数を抱えられるようになり、業務効率が格段にアップします。
これらのメリットを享受したい場合には、インサイドセールスの導入を前向きに検討していきましょう。
インサイドセールスのやり方は導入範囲によって異なる
インサイドセールスを導入する際には、営業プロセスのどの範囲に導入するのかを検討しましょう。
インサイドセールスの導入範囲には、以下6つがあります。
- アポ取り型
- ナーチャリング型
- 単独型
- フィールドセールス協業型
- 平行型
- チーム型
それぞれメリットデメリットがあるため、自社のリソースなどから最適な方法を選ぶことが重要です。
インサイドセールスの導入範囲とやり方①アポ取り型
マーケティング部から受け取ったリストをもとに、アポイントの獲得を目指すやり方です。
電話やチャット、ビデオ通話などを使ってアポ獲得を目指します。
獲得したアポイントはフィールドセールスに回し、商談数アップに貢献していくのです。
アポ取り型のメリットデメリットは以下の通りです。
メリット | デメリット |
・アポ獲得数が増やせる ・導入範囲が狭いので比較的すぐに取り掛かれる | ・テレアポ部隊との差別化がしにくい ・他部署からの理解が得にくい ・高額な商材には向かない |
取り掛かりやすくアポ獲得ができますが、テレアポ部隊を抱えている場合には差別化が難しくなります。
そのため、他部署からの理解が得にくく、連携も難しくなるリスクがあります。
また、アポ取り型はすぐに商談へ移行するため、購入の検討に時間がかかりやすい高額な商材には向いていない手法です。
アポ取り型は価格が安く購入のハードルが低い商材を扱っている場合や、十分な数のアポが得られていない場合におすすめです。
インサイドセールスの導入範囲とやり方②ナーチャリング型
ナーチャリングとは、顧客を育成することを言います。
ナーチャリング型ではすぐにアポ獲得を目指すのではなく、顧客の見込み率アップを目指します。
十分に見込み率が上がったり、アポ獲得をしたりしたらフィールドセールスにバトンタッチするのです。
メリットデメリットは以下の通りです。
メリット | デメリット |
・受注率が上がる ・顧客単価が上がる | ・成果が出るまで時間がかかる ・コンテンツの拡充やノウハウ蓄積に時間がかかる |
見込み率を高めることで、受注率や顧客単価アップにつながります。
ただし、見込み率アップに必要な環境を整えたり、実際に成果を出したりするには時間がかかります。
すでに十分な売上があり、予算確保ができていないと導入が難しいでしょう。
また、ナーチャリングの手間を考えると価格の安い商材では、採算が合わなくなってしまいます。
そのため、価格帯が高めの商材を扱っており、コアなファンの獲得を目指したい場合におすすめな方法です。
インサイドセールスの導入範囲とやり方③単独型
単独型は、アポ獲得から成約まですべてインサイドセールスで請け負う方法です。
営業のすべてをインサイドセールスにすることで、営業効率が劇的にアップします。
メリットデメリットは以下の通りです。
メリット | デメリット |
・コスト削減につながる ・対応できる案件数が大幅にアップする ・他部署との連携が容易になる | ・体制を変えるのが大変 ・高額商材や質感が売りの商材などは売りづらい |
移動が不要になることで、交通費や移動時間もなくなって営業効率が劇的にアップします。
ただし、従来のフィールドセールスから大きく方向転換する必要があり、導入には手間がかかります。
また、非常に高額な商材や手触りなど実際に見ないと購入の判断が難しい商材は売りづらくなるでしょう。
自社が扱っている商材に向いているかどうかをよく吟味するようにしてください。
単独型は「とにかく営業効率をアップさせたい」という場合におすすめな方法です。
インサイドセールスの導入範囲とやり方④フィールドセールス協業型
フィールドセールス協業型は、従来のフィールドセールス部門と役割分担をして協業する方法です。
基本的にインサイドセールスがナーチャリングを担当し、フィールドセールスが商談やヒアリングを行います。
ただし、見込みの低い客はインサイドセールスの担当に戻し、ナーチャリングや再ヒアリングを行うなど密に連携を取ります。
互いの専門領域をもちつつも、連携を取ることで効率よく成約を狙っていくのです。
メリットデメリットは以下の通りです。
メリット | デメリット |
・それぞれの強みを生かせる ・従来の営業部隊を残せるため導入もしやすい ・見込み率をアップさせつつ高額商材なども売りやすい | ・担当者が急に変わることで顧客が戸惑いやすい ・線引きを明確にしないと対応がうまくいかない |
フィールドセールス部を解体することなく導入でき、これまでのノウハウも活かしていけます。
商談は対面で行えますし、顧客育成もできるため、高額商材なども売りやすいでしょう。
しかし、営業プロセスの途中で担当者が変わることで顧客側が戸惑う可能性があります。
一貫した対応ができるよう、部署間での徹底した連携が必要です。
また、それぞれの部署がどういったケースを担当するのかを決めておかないと、トラブルの原因になります。
導入時にはそれぞれの担当範囲を定めるルールを決めるようにしましょう。
フィールドセールス協業型は、高額商材を扱っている場合や顧客単価アップに悩んでいる場合におすすめな方法です。
インサイドセールスの導入範囲とやり方⑤平行型
平行型では、インサイドセールスとフィールドセールスがそれぞれ個別にアポ取りから商談までを行います。
インサイドセールス部門が受け取ったリストは、商談まですべて一貫してインサイドセールス部門が行うのです。
フィールドセールスにおいても同様です。
担当領域が明確になっているため、導入による混乱を防げます。
そのほかのメリットデメリットは以下の通りです。
メリット | デメリット |
・担当者が同一になるので顧客が安心する ・導入による社内の混乱を防げる | ・それぞれの部署の強みを活かしきれない ・ノウハウ共有がしにくい |
役割分担がはっきりしているため、会社内の混乱も少なく、顧客が戸惑うリスクも低いです。
比較的、導入がしやすい方法と言えるでしょう。
ただし、インサイドセールスとフィールドセールスの強みを活かしきれません。
営業はプロセスが大事であり、1つでも質が低い段階があると成果が出しにくくなります。
顧客育成に強いインサイドセールスも、商談などに時間を取られて本領を発揮できない可能性があるのです。
また、インサイドセールスとフィールドセールスが完全に切り離されているため、ノウハウ共有がしにくいです。
チーム全体の営業力の底上げが難しく、成果にムラが出るでしょう。
平行型は導入の手間を省きたい場合におすすめの方法です。
インサイドセールスの導入範囲とやり方⑥チーム型
チーム型ではインサイドセールスとフィールドセールスの両方が、アポ取りから商談までを請け負います。
さらに、顧客の状態に合わせてどちらが担当するかを柔軟に変えていく、いわば二人三脚方式です。
インサイドセールスとフィールドセールスのそれぞれの担当者が同じチームで活動します。
メリットデメリットは以下の通りです。
メリット | デメリット |
・顧客の状況に合わせて柔軟に対応できる ・仕事の負担を適切に分散できる ・ノウハウ共有が容易になる | ・チーム内の業務が複雑化して管理が難しくなる ・ルールを決めないと効率ダウンやトラブルにつながる ・業務内容が複雑になりアウトソーシングがしにくい |
同じチーム内で活動することで、柔軟な対応やスムーズなノウハウ共有ができるようになります。
しかし、チームが大きくなることで管理がしづらくなったり、トラブルのリスクが上がったりします。
現時点でインサイドセールス部門が社内にない場合には、フィールドセールスに依存してしまうリスクもあるでしょう。
インサイドセールスが定着せず、思うように成果が上がらないかもしれません。
また、業務内容が複雑化するためアウトソーシング(外注)がしにくくなります。
チーム型はすでにインサイドセールス部がある場合や、顧客への柔軟な対応をしたい場合におすすめな方法です。
インサイドセールスを導入するやり方
インサイドセールスを導入する場合には、以下4ステップで行います。
- 導入範囲とKPIを決める
- 責任者や配属する人材を決める
- シナリオを設計する
- 運用しながら改善をくりかえす
導入した後にうまく機能しなければ、インサイドセールスの恩恵を受けることができません。
しっかりと社内体制に取り入れられるよう、正しい手順で進めていきましょう。
インサイドセールスを導入するやり方①導入範囲とKPIを決める
まずはインサイドセールスを、営業プロセスのどの範囲に導入するのかを決めましょう。
すでに紹介したように、導入範囲によって気をつけるべき点などが異なるからです。
導入範囲が決まったら最適なKPIを設定します。
KPIに沿って営業マンの評価や営業プロセスの最適化を行うためです。
たとえば、ナーチャリング型を採用する場合には、数値化できないものについてもKPIとして設定しましょう。
「顧客のニーズをどれくらい引き出せたか」などです。
そうでないとアポ獲得数などで評価してしまい、顧客育成を思うように進められなくなってしまいます。
運用目的に沿ったKPIを設定することを意識してください。
インサイドセールスを導入するやり方②責任者や配属する人材を決める
評価体制が整ったら、人材配置について考えていきましょう。
責任の所在を明らかにしておくことで、チームの運営がうまくいきやすくなります。
また、人材を選定する際の見極めポイントとして以下3つが挙げられます。
- 計画的に進められるか
- ヒアリング能力が高いか
- コミュニケーションがスムーズか
顧客対応に割ける時間が多いインサイドセールスでは、複数案件を同時に進めていく必要があります。
そのため、物事を整理して計画的に進められる人が向いています。
また、非対面で顧客のニーズを汲み取る高いヒアリング力が必要です。
ヒアリングに定評のある人を集めてみましょう。
社内で他部署との連携をしていく上では、コミュニケーションがスムーズであることも大切です。
そのほか、効果的なノウハウを独り占めせずに共有する姿勢も求められるでしょう。
インサイドセールスを導入するやり方③シナリオを設計する
人材配置が済んだらシナリオ設計に移りましょう。
シナリオとは顧客が製品を購入するまでの流れや、インサイドセールス部のスケジュールのことです。
どんな人が見込み客で、どういったアプローチをするのか、どういった気持ちの変化で購入に至るのかを想定します。
そのプロセスをどのくらいの期間で進めていくのかも明らかにしておくと、より運用しやすくなるでしょう。
シナリオにはフィールドセールスとの連携についても明記するのがおすすめです。
うまく連携していくためにも、どういった状況下でどちらが担当するのかを明確にしておきましょう。
インサイドセールスを導入するやり方④運用しながら改善を繰り返す
社内体制や運用方法は1度決めて終わりではなく、実践しながら改善を繰り返していきましょう。
想定するだけでは見つけられないこともあるからです。
運用する中で思うようにいかない箇所がある場合には、原因を洗い出して体制を見直します。
また、成果アップだけでなく社員の働きやすさについても注目してください。
いくら成果が出ていても社員の負担が大きすぎたり、大きなストレスがかかったりしていては続かないからです。
インサイドセールス部に配置された人にヒアリングも行いながら、継続可能な体制が整っているか確認していきましょう。
インサイドセールスをうまく運用するポイント3つ
インサイドセールスをうまく運用していくためにも、以下3つのポイントを意識していきましょう。
- 役割分担を明確にする
- ノウハウや情報共有を徹底する
- ツールを活用する
インサイドセールスを導入して営業成果をあげていくためにも、ぜひ実践してみてください。
インサイドセールスの運用方法①役割分担を明確にする
インサイドセールスは顧客育成にもっとも強みがありますが、アポ獲得やヒアリングも可能です。
ただ、インサイドセールスの役割や目的を定めておかないと、管理が難しく成果も出しにくいです。
すでに紹介したように、導入範囲を明確に定めてフィールドセールスとの役割分担を明確にしておきましょう。
誰が業務を行っても同じように進められるよう、ルールを設けておくのです。
ルールを決めることで営業の質を保ちやすくなり、属人化も防げるようになります。
インサイドセールスの運用方法②ノウハウや情報共有を徹底する
フィールドセールスやマーケティングと連携するためには、情報共有が大切です。
顧客情報が共有されていない場合、同じ顧客を複数の部が担当した際に重複したアプローチをしてしまう可能性があるからです。
顧客に与える印象や営業効率が悪くなってしまうので、常に最新の顧客情報を共有するようにしましょう。
また、顧客情報だけでなく、営業ノウハウについても共有していきましょう。
インサイドセールスを新しく導入する場合には、ノウハウがたまっていないからです。
安定的に成果を出せるようにノウハウをためていきましょう。
たまったノウハウを他部署にも共有することで、より質の高いリスト獲得や商談での魅力的な提案も可能になります。
役割分担はしつつも情報は共有しながら、営業チーム全体の成果アップにつなげていきましょう。
まとめ|インサイドセールスの導入範囲にあったやり方を実践しよう
インサイドセールスのやり方について紹介しました。
インサイドセールスを導入する場合には、導入範囲の検討が大切です。
範囲によって得られる効果や運用方法、導入の難易度が異なるからです。
自社のリソースや商材の特性などを考慮しながら、最適な方法を選んでみてください。